いま脱毛業界で何が起きているのか?
「よーし、これから全身脱毛デビュー!」
ウキウキ気分で契約した脱毛プラン。数十万円を支払い、いざ通い出したら…突然こんなメールが届いたらどう思いますか?
「このたび、〇〇脱毛サロンは2025年○月○日をもって閉店いたします。今後のご返金・サービス提供については、別途ご案内申し上げます。」
…そして、それっきり音信不通。
連絡先は繋がらず、店舗の扉には「テナント募集」の張り紙が。
こうした「倒産・突然の閉店」によるトラブルが、いま脱毛業界で急増しているのをご存じでしょうか?
増えているのは“サロン”だけじゃない!クリニックでも起きている
脱毛のトラブルと聞くと、多くの人が「エステ脱毛」や「格安サロン」のイメージを持ちがちです。
しかし最近では、医療機関であるはずの脱毛クリニックでも、突然閉院するケースが出てきています。
しかもその多くが、事前に告知もなく、返金手続きも不透明なまま、
「契約だけ残って、消化できていない回数が大量にある…」
という泣き寝入り状態。
SNSや口コミでの“被害報告”も多数…
X(旧Twitter)やInstagramでも、こうした体験談が投稿されています。
「〇〇クリニックに通ってたのに、閉院してた…。あと5回も残ってたのに…」
「通ってた脱毛サロン、夜逃げみたいな感じで閉店してた。返金されないってどういうこと!?」
中には、ローンだけが残ってしまい、サービスが受けられないまま支払い続けるはめになった人も…。
なぜ脱毛クリニックやサロンは突然倒産するのか?
表面だけじゃ見えない“脱毛ビジネスの裏側”
脱毛って、ものすごく儲かってそうに見えますよね。
でも実は、脱毛サロンやクリニックの経営ってすごく不安定なんです。
その背景には、次のような構造的なリスクがあります。
①「先払いモデル」による資金繰りの限界
多くの脱毛プランは、最初に何十万円もの高額を一括払い(あるいはローン)で契約します。
この「先にお金をもらって、あとで施術を提供する」というビジネスモデル、実はかなり危険です。
なぜなら、すでに受け取ったお金を“別の用途”に使ってしまうことがあるから。
広告費・スタッフの人件費・家賃…
手元のキャッシュが足りなくなると、新しい契約金を使って回すようになり、結果として自転車操業状態に陥ることも。
② 広告費がかかりすぎて“集客しないと即赤字”
Instagram・Google・YouTubeで、脱毛サロンの広告を見ない日はありませんよね。
でもこれ、1クリックあたり数百円〜数千円かかっていることもあります。
そして新規の契約が止まった瞬間から、資金はショート寸前。
店舗維持も困難になり、あっという間に「閉院・閉店」の決断を迫られるのです。
③ 機材や内装への初期投資が大きすぎる
特に医療脱毛クリニックでは、レーザー機器や医療設備、スタッフ確保にかなりの初期費用が必要です。
「これから稼いでいく予定だったのに、思ったより患者が集まらなかった…」
そんな状況になれば、すぐに経営は傾きます。
④ 人手不足&離職でサービスの質が下がる
施術スタッフが次々と辞めていき、人材の補充が追いつかないサロンも増えています。
未経験スタッフばかりの状態でクレームが増え、口コミが悪化 → さらに来客が減少 → 経営悪化…という負のスパイラルに。
実際に起きている脱毛トラブル事例とそのパターン
脱毛サロン・クリニックの“突然の閉店”は、実際どのような形で起きているのでしょうか?
ここでは、SNSや報道、消費者センターなどに寄せられた代表的なトラブル事例をもとに、よくあるパターンを整理してみましょう。
■ ケース①:「閉店のお知らせ」が突然届く → それっきり音信不通に…
一番多いのがこのパターン。
「本日をもって閉店します。ご迷惑をおかけしますが、詳細は改めて…」
といったメールやLINEが届いたきり、連絡が取れなくなるケースです。
もちろん返金の案内はなし。
公式サイトやSNSも消えていて、情報も得られない…という最悪の状態に。
特に「チェーン展開していたサロン」が一斉閉店するパターンが多く見られます。
■ ケース②:ローンだけが残り、施術は受けられない…
中には、契約時にローンを組んでいた人もいます。
クリニック側は倒産してしまったのに、ローン会社からの引き落としは止まらない…。
「もう通えないのに、月々1万円以上払ってる…」
「解約したくても、ローン会社に“サロンとの問題は関与できない”って言われた…」
このケースでは、「ローン会社」VS「利用者」VS「サロン」の間で責任の所在が曖昧になりがちです。
■ ケース③:名義変更や経営譲渡で“別の会社”になる
一見するとサロンが「なくなった」わけではないのに、実質的にはまったく別の運営会社に引き継がれているケースもあります。
サービス内容が改悪される
回数の引き継ぎがされない
引き継ぎ名目で新たな追加費用を求められる
「通ってたサロンが違う名前に変わってて、以前の契約が“無効扱い”になった」
という声もあり、まさに“契約の消失”が起こってしまいます。
■ ケース④:対応が雑になり、事実上“通えない雰囲気”に
倒産や閉店とは言わず、実質的に運営を停止したようなサロンもあります。
予約が一切取れない(電話がつながらない)
施術スタッフが常に不足していて施術できない
苦情に対応しない
こうした状況で、利用者が諦めて通わなくなり、自然消滅的にトラブルにされることも…。
なぜ返金されないの? 倒産時の“法の壁”とその盲点
「閉店したなら、使ってない分くらい返してよ!」
そう思うのは当然ですよね。
でも、現実には返金されないケースがほとんどです。
その背景には、法律や制度の抜け穴が関係しています。
■ クーリングオフは「契約から8日以内」のみ
まず思いつくのが「クーリングオフ制度」。
これは特定商取引法に基づいて、契約から8日以内であれば無条件で解約できるという制度です。
…が、8日を過ぎるともう適用されません。
「数ヶ月後に倒産した」
「途中まで施術してたけど、回数残ってる」
というケースではクーリングオフは使えないんです。
■ 中途解約は可能だが…倒産していたら無理
「それなら中途解約すればいいじゃん」と思うかもしれません。
確かに、特定継続的役務提供(エステ・脱毛など)は、いつでも中途解約できる権利があります。
でも、倒産していて運営者と連絡が取れない場合、解約も返金請求もできません。
相手がもう存在していないからです。
■ 倒産=「債権者の一人」として扱われる現実
運営会社が正式に破産申請をした場合、私たちは「債権者」という立場になります。
しかしこのとき、回収できるお金は…
順番が後ろ(税金や従業員の給料が優先)
そもそも資産が残ってない
連絡手段が閉ざされている
などの理由で、現実的には「1円も戻らない」ケースがほとんどです。
■ ローン会社とのやり取りは別扱いになる
ローンを組んでいた人は、「ローン会社」=「サロンと別の存在」として扱われます。
つまり、脱毛サービスが消えても、ローンの返済義務はそのまま残ります。
一部のローン会社は「役務提供が不可能な場合の抗弁権(支払い停止権)」に応じてくれることもありますが、基本的には自力で交渉が必要です。
こんな脱毛クリニック・サロンは危ない!事前に見抜くチェックポイント
倒産やトラブルに巻き込まれたくないなら、契約前の見極めが超重要です。
ここでは、実際に閉店・トラブルが多かった施設に共通していた特徴をもとに、見抜き方をチェックしていきましょう。
■ チェック①:異常なほど安すぎる or 無料を連発している
「全身脱毛○回、5万円ポッキリ!」
「今なら無料カウンセリング+初月0円でスタート!」
…こんな広告、よく見かけませんか?
もちろんキャンペーン自体は問題ないのですが、
極端に安い価格や“実質無料”ばかり強調する施設は要注意です。
なぜなら…
採算度外視で「新規契約金」をかき集めている可能性
リピートにつなげるどころか、回収だけを目的としているケースも
維持できなくなった途端、閉店という道へ
■ チェック②:契約方法が「現金一括」や「ローン」しかない
脱毛の支払い方法にはいろいろありますが、
「都度払い」や「月額制」を一切用意していない施設は、資金繰りに不安がある可能性があります。
→ つまり「最初にできるだけ多く払わせて、回収してから倒れる」リスクが高いということ。
特に、初回契約時にやたらとローンを勧めてくる施設は要警戒です。
■ チェック③:医療脱毛なのに医師の説明がない
これは本来、法律違反レベルの問題です。
医療脱毛は医療行為なので、必ず医師の診察・説明が必要。
でも中には、エステサロンのような感覚でスタッフだけで対応し、
医師がまったく登場しないクリニックもあります。
→ このような運営をしているクリニックはそもそも違法性が高く、閉鎖リスクも高いです。
■ チェック④:口コミやSNSが「不自然に良すぎる」
星5レビューがやたらと多い
似たような文体・短文での投稿が目立つ
インスタグラムがタレントの宣伝投稿ばかり
こうした施設は、実際のユーザーの声が見えづらくなっています。
あまりに評価が高すぎる場合は、「低評価を削除してる」可能性や、ステマ系アカウントの利用も。
リアルな口コミは「Google」「X(旧Twitter)」「知恵袋」「5ちゃんねる」などでもチェックすると◎
脱毛トラブルを防ぐために!契約前にできる5つの具体的対策
「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないために、
脱毛を始める前にチェックしておきたい5つの具体的な回避策を紹介します。
どれも簡単にできて、リスクを大幅に下げる行動ばかりです。
■ 対策①:可能な限り「月額制」「都度払い」を選ぶ
「とにかくローンは怖い!」と感じた方、正解です。
都度払い制(月額制)を採用しているクリニックやサロンなら、途中でやめてもリスクが低いです。
支払った分だけ施術を受けるので、万が一閉店しても損失が最小限に抑えられます。
最近は「医療脱毛 × 月額プラン」も増えているので、ぜひ検討してみてください。
■ 対策②:「医療脱毛かどうか」をきちんと確認する
医療脱毛を装って実は「サロン脱毛(光脱毛)」だった、というケースも多く報告されています。
医療脱毛は、医師免許を持つ医療機関でしか行えません。
公式サイトに「クリニック名(〇〇医院)」があるか
医師の名前と診療所番号が記載されているか
カウンセリング時に医師の診察があるか
この3点は最低限チェックしましょう。
■ 対策③:契約書を細かく読む(返金・解約の条項に注目)
長い契約書、つい流し読みしがちですが、
「返金条件」「中途解約の対応」部分は絶対に確認してください。
解約時の手数料はいくら?
通っていない回数分の返金はある?
倒産時の補償について何か記載がある?
何も書いてなければ、その時点で「危険サイン」です。
■ 対策④:カード・ローン会社との交渉余地を残しておく
ローンで契約する場合でも、「信販会社(ローン会社)」と直接やり取りができるかどうかが重要です。
実際にトラブルが起きた時、
支払い停止の抗弁権(こうべんけん)※特定商取引法に基づく制度を使えるかどうかも、交渉にかかっています。
ローン契約時に“もしサービスが停止された場合の対応”を確認するだけでも、被害を避けやすくなります。
■ 対策⑤:契約前に「消費者センター」への相談もOK!
気になる点があれば、契約前でも国民生活センター(消費者ホットライン:188)に相談できます。
この契約内容、大丈夫?
クーリングオフできる条件か?
特定商取引法の対象になるか?
契約後に泣きつくより、事前相談の方がはるかに効果的です。
信頼できる脱毛クリニックの選び方|失敗しない5つの基準
ここまでで、「危ない脱毛施設の特徴」や「避けるべきポイント」は把握できました。
では反対に、安心して通えるクリニックをどうやって選べばいいのでしょうか?
ここでは、実際にトラブルが少なく、長く運営されている脱毛クリニックに共通するポイントを紹介します。
■ 基準①:運営元やグループの実績がある(開院歴・全国展開)
突然現れた格安クリニックよりも、
運営会社の実績が明らかなところは信頼度が高いです。
10年以上運営されている
医療法人が母体となっている
脱毛専門の医療グループ(リゼ、フレイアなど)
など、“継続性と安定感”のあるクリニックを選ぶことが、倒産リスクの低減につながります。
■ 基準②:医療機関としての情報が開示されている
医師の名前と顔写真が載っている
医療機関としての住所・診療所番号が明記されている
「医療脱毛」という言葉を正しく使っている
逆に、「エステ脱毛」なのに医療のように見せかけている場合は、注意が必要です。
■ 基準③:契約・カウンセリングの説明が丁寧
無理な勧誘がない
デメリットも正直に説明する
契約書をじっくり読ませてくれる
クーリングオフや中途解約についても案内がある
丁寧な説明=逃げも隠れもしない安心の証です。
■ 基準④:口コミ・評判が「リアル」かどうか
信頼できるクリニックは、SNSやクチコミサイトでも以下のような特徴があります。
良い点と悪い点の両方が書かれている
施術内容について具体的な投稿がある
スタッフ対応に関する声も多い
「良いことしか書かれていない」「テンプレみたいなレビューばかり」だと要注意!
■ 基準⑤:返金保証や途中解約に関する制度が明確
安心して契約できるクリニックは、
施術が合わなかった場合の返金対応や、途中解約の条件をきちんと提示しています。
特に医療脱毛は高額なので、
解約時の返金ルール
解約手数料の上限(2万円 or 残額の10%)
未消化分の返金日数の目安
などが明記されていれば、いざという時に安心です。
後悔しない脱毛のために、これだけは覚えておこう
脱毛は、一歩踏み出す勇気と、お金と、時間をかける大きな決断です。
それだけに、「後悔しない選択をする」ことが、何より大切です。
ここで改めて、読者のみなさんに**お伝えしたい“本当に大事なこと”**をまとめておきます。
■ 「安さ」より「安心」を優先しよう
激安プランや無料体験の魅力に飛びつく前に、
その裏にあるリスクや運営状況をチェックするクセをつけましょう。
脱毛は一度の施術で終わるものではありません。
「長く通えること」「安心して通えること」の方が、結果的にコスパが良いのです。
■ 「今だけ」「限定」と言われたら、一晩寝かせる
急かされると判断力は鈍ります。
どんなに魅力的なオファーでも、「一度持ち帰ってから考える」ことが、失敗を防ぐ鉄則です。
■ 「公式サイトだけ」を信じない。SNS・口コミも必ず確認
クリニックやサロンの公式サイトは、当然ポジティブ情報ばかり。
本音が出るのはX(旧Twitter)・Googleクチコミ・知恵袋などの第三者メディアです。
実際に通った人の“リアルな声”を調べてから判断しましょう。
■ 最終確認用チェックリスト(脱毛契約前の10の質問)
質問 | チェック |
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医療脱毛か、サロン脱毛かを確認したか? | |
運営会社・法人名を調べたか? | |
カウンセリングで医師が出てきたか? | |
料金体系(月額・都度払いの有無)を確認したか? | |
契約書に返金や解約の条項があるか? | |
口コミをSNS・Googleで調べたか? | |
無理な勧誘を受けなかったか? | |
急かされず、考える時間があったか? | |
信販会社との契約内容を確認したか? | |
不安な点を消費者センターに相談したか? |
この10項目すべてに「YES」でチェックが入るようにしておけば、
後悔のない脱毛選びにかなり近づけます。
あなたの選択を“後悔しないもの”にするために
脱毛トラブルは、決して他人事ではありません。
でも、正しい知識とちょっとした注意力があれば、防げるトラブルばかりでもあります。
「私には関係ない」と思わず、
この記事が、あなたや大切な人の“後悔しない脱毛選び”の参考になれば幸いです。